Bブロックの作品感想・解析

どこまでできるか分かりませんが、順番に。


―Bブロック―

  • B-01  満月の牙

感想:
神父と吸血鬼の話……と思いきや。信仰に苦しむ神父の葛藤が分かりやすい筆致で描かれています。ルーナ嬢の前向きな姿勢に救われますね。訥々と語られる平易な文章が、心にすとんと落ちました。

解析:
麦角菌など、作者さんは中世西欧に詳しいと思われます。短文〜中等度の文。改行多し。難解な漢字なし、平易な文体。数詞はアラビア数字。カタカナ語の擬音表記あり。

  • B-02  求めるトクベツは

感想:
どこにでもあるアイドルとマネージャーの話。でも、もう一歩踏み出したい気持ちはトクベツなもの。誰にでも覚えのある「私」のささやかな話。

解析:
短文が主。ほぼ全改行。台詞は希少。カタカナ語多用。「割に」「曰く」「付き」「悟って」などの表記を使用。

  • B-03  星の河をわたる風

感想:
滑空艇を駆る「風乗り」を主役に、二人の想いを交叉させた一幕。これだけでも世界が広がっていきそう。同じ視線で星や河を見てみたくなりました。良い葡萄酒に似て、深く渋い余韻が、心に波紋を残していきます。

解析:
台詞は控えめ。短文〜中等度のバランス型。台詞以外の強調にも「」を使用。数詞はアラビア数字の半角。「葡萄酒」「悪戯」「溜まる」「馴染み」「灯り」等の表記あり。

  • B-04  最後のブルース

感想:
新星は、実際には星が燃え尽きる時の輝きと聞きました。必要最低限の文章で、このお話が書けるとは。熱いアンコールの叫びが聞こえてきそうです。彼女たちにとって、最高のステージになったでしょうね。

解析:
短文が主。段落分け多し。台詞は控えめ。地の文中にも「?」「!」あり。「……」が主で、「――」は最後のみ。強調には「」『』「""」が混交。数詞はアラビア数字。

  • B-05  星を握る

感想:
これまた目の付け所が違ってますね。淡々と語られる町工場の工場長との会話に、燻し銀の煌き。静かな交流が、こちらの背筋まで正してくれる気がします。

解析:
オレ一人称。短文が主だが、中等度の文も多少。台詞は控えめ。数箇所に一字省略の言葉あり(「つきあて」「衰退するは」「可能のなさ」等)。数詞は漢数字。

  • B-06  生命 撒く者 〜 Panspermia

感想:
耳に痛い無音の暗黒が響いてきそう。滅亡後、宇宙を疾駆する自動機械と岩塊知性の図は「SFの絵」として正統派です。未来への希望を託す星のイメージとして相応しいと感じました。

解析:
台詞なし。短文の連鎖、短い段落の連続。抑制された詩にも似た筆致。「了」で終了。

  • B-07  Xing(シン)

感想:
「星」には、そういう読み方もあったんですね。アクションから締めまで水も漏らさぬ展開がスマートです。書き慣れてる方だな、と直感で思いました。

解析:
台詞が主。短文を重ねて勢いを出している。「……」が主、「――」は大事に使用。台詞内に「!?」あり。文末は、漢字を使わずひらがなに開いている。

  • B-08  空を見上げて

感想:
ああ、こういう気分になる時あります。後半はちと急展開ですが、じんわりと心が湯煎された様でした。泣きなさい、笑いなさい、とは歌詞にもある万能薬ですね。

解析:
前半は短文〜中等度のバランス型。後半は、会話文体。「……」「――」「――――」使用。「""」を使用。多少のカタカナ語を使用。台詞末尾「!?」使用あり。

  • B-09  指先に星

感想:
青春ですね。星が綺麗なのは、人が思いを込めるから。架橋になってくれるから……。恋心の動きを写し取った、繊細な小品。

解析:
短文が主。会話も短め。「……」使用。段落分けは頻回、短い段落多し、行間も一行とさらに広いものあり。平易な文体。台詞に「?」「!?」使用あり。

  • B-10  歌う星

感想:
"禁じられた遊び"なんちゃって。芸術のない国って想像するだに味気ないですね。星々降らす歌声はまさに天界の音楽。これまた色彩深い絵が浮かぶ逸品だと思います。

解析:
中等度の文が主。台詞は僅か。「」での強調あり。「()」での内心表現あり。「――」の意図的な文頭使用あり。句点はやや多目か。表現は平易で、ひらがなに開いている。

  • B-11  ちょっとだけ遠い未来のこと

感想:
星見教室へ向かう高二の主人公たち。地に足のついた雪国の描写が臨場感を高めています、と思ったら。巧いですね。手堅い細部に、実際一緒にいるみたいな面持ちになりました。最後に残された言葉が胸に響きます。

解析:
短文〜中等度のバランス型。台詞は補足的に使用。「!」「?」は短台詞では頻回。「ー」を使用。「……」「――」使用。