Cブロック作品の推理

ま、青春というほど私は若くはないわけですが。(笑)
ぼちぼちいってみましょう。


―Cブロック―


□『かふぇBreaktime』(くりさぶれさん)
http://pamipami.hp.infoseek.co.jp/


お世話になっている作家さんです。できれば、当たっててほしいなあ。くりさぶれさん、もし違ってたらごめんなさい。FT小説「時の歯車」「Silver cross」各シリーズ、47の御題・現代短編もの「W」シリーズを載せておられます。最新作は2000Hit記念「七転び八起き」。さらさらと読みやすい文体で、「Silver cross」冒頭や「W」のように日常を描き出すのを得意とされているようです。ふんわり明るい筆致は、心まで晴れ晴れとさせてくれます。
文体の特徴としては「……」の多用や「、……」の表現をはじめ、C-09の解析パターンによく合致します。全体の構成や読後の印象も近く、くりさぶれさんの作品は第一印象の通り、C-09だと考えます。


□『ダスヴィダーニャ』(ブシィ=ナスカさん)
http://naska.cside.com/


異世界ミステリFT「血よりも強く」、ライト恋愛(?)FT「微瞑むように」ほか、シリアスやコミカルな中篇・短篇を幾つも書いておられます。現代伝奇FT「傍らのミス=フォーチュン」にはホロリときましたね。
シリアスとコミカルの程よいバランス、上記「傍らの〜」同様の押しかけ型ヒロイン(4歳幼女ですが)に加え、緩急ついた文体。特徴として「ー」「……」「――」や、漢数字・アラビア数字交じり、文中「」「()」あり。「宛がう」「揶揄」「覚束ない」「殆ど」「矢張り」「為す」等の漢字使用、「後頭部」や「きゃっきゃ」という表現の一致から、C-07がブシィ=ナスカさんの作品であると思います。
(C-10も考えましたが、ブシィ=ナスカさんは「窺う」ではなく「伺う」という表現を使っておられるので否定的)


□『硝子の靴。』(りかこ☆さん)
http://pearlmadam.cool.ne.jp/


主に恋愛物の短篇を書いておられます。日常に疲れた大人が、ふとした幸福や不思議に出会い癒される構成が多いようです。
題材もそうですが、文体のリズムや文中での「()」(括弧表記)、何より場面転換の「・」3行が特徴的です。りかこ☆さんの作品はC-11でFAとさせて頂きます。


□『砂水』(碓地海さん)
http://mist.in/suna_mizu/


異世界FT「夕闇の手招き」「千年記」連載中、ほか短篇を何作も書いておられます。
逡巡しながら厚みを出す描写、会話主体で進めていく構成を取っておられます。短篇では一人語りも多いようです。
文体解析では、登場人物の名前の頻度、句点や「……」の多さ、詩情を重視した語り口からC-04が碓地海さんの作品ではないかと。


□『zetona』(叶儀シウさん)
http://paperboy.ntwk.jp/


遠未来SF「Honey Bombs」、異世界王国FT「カフェで晩餐会を」、現代FT「同好会連作分室」各シリーズ他、恋愛物などの短篇を幾つも。硬質な筆致から柔らかいダイアローグまで多彩な作品揃いです。
題材と文章の印象からは、C-02、C-10のどちらかだと思いました。文体を細かく見ると、文末に「――」を配する癖(特に「レイニーガール」「フィンランディア」等)、また「揶揄」「嗤う」などの高難度の漢字が多めであり、C-10がより叶儀シウさんの作品として合いそうな雰囲気です。


□『月蟾処』(高遠一馬さん)
http://kazuma3.sakura.ne.jp/


異世界/現代FT、恋愛FTに加え、ホラー物も沢山の作品を書いておられます。可愛い女の子(人外)や、美しいシーン描写に長けておられます。
題材や、最後のホラー風味への転化。短文よりのバランス、一・二行ごとの改行、台詞中に「〜」「ー」や「……」「――」が両方あること、「ニコニコ」笑う人物(「sotto voice」参照)、「一人」「一枚」「一袋」「一声」「一面」「一度」「一時的」「一片」「一つ」など「一〜」形の数詞・形容が散見されることから、高遠一馬さんの作品はC-06ではないでしょうか。

修正)しかし高遠一馬さんは「、……」という句点パターンなんですよね……。むしろC-06は佐木琴乃さんの作品のようです。では? ホラー物全篇に眼を通してみると「逃れ得ぬ悪夢」を繰り返しモチーフとしておられます。C-08もよく見れば「一筋の」等の表現があり、これは高遠一馬さんの作品にもあるため、作品予想はC-08に変更させて頂きます。


□『Fruhstuck』(佐木琴乃さん)
http://mzoo.milkcafe.to/


恋愛物「文学賞への道」「恋の呪文」などのシリーズをはじめ、青春物の短篇を幾つか。すっきりした文体で、場面がさらりと映し出される印象。
「エクボの星」ではネットゲームを扱っておられ、「残照」では最後にホラー風味あり。「一瞬」「一緒に」「一方」「一切」「一帯の」等、「一〜」形の表現をこの方も多く用いておられますね。むしろC-06は、この方の作品ではないか、と思えてきました。「……、」の句点パターンや「〜」「ー」使用も一致します。佐木琴乃さんこそ、C-06の作者さんでは。と、考え直しました。
(すると、高遠一馬さんの作品予想を修正しないと……)


□『コチと裏庭』(小沢イネさん)
http://mw.atelier.cc/


異世界FT「オスカー・エルトンと花の呪いについて」他、ほのぼのユーモアから哲学的な問答や心象風景の一幕など多彩な短篇揃い。何ですか、この自由自在な文体は。恐ろしく描写がこなれているばかりか。独自のセンスもあれば、それを押し殺す術も知っておられる。この方なら本当にどんな話でも書けそうです。短篇では「赤と緑の平行線」「落とす男」などお気に入り。
最初は独自のセンスからC-03かと思ったのですが。作品群を読み進めていくうち、小沢イネさんの癖というより優しさに注目しました。「()」で文中の意を補完する表現も合致します。C-01こそ小沢イネさんの作品ではないでしょうか。

修正)いやいや……「ポチタマおよび巫女」など長編も参照すると、なかなかのユーモアぶり。得意は異世界FTとはいえ、ここまでの作者さんなら題材の迷彩も自由自在と考えました。やはり文体解析でクロスチェックしないと。すると、強調に「""」「『』」を使用しているのが眼につきますね。段落の間が広いのも合致する作品があります。小沢イネさんの作品はC-05の方がすんなり決まりそうです。他にC-05に合う作家さんもおられませんし……。


□『お姫様倶楽部Petit』(神光寺かをりさん)
http://ohimesamaclub.chat-jp.com/petit/


異世界FT「クレール 光の伝説」、日本を舞台とした「フツウな日々」、歴史もの「私文三国志」等々。この方の守備領域も多彩ですねえ。場面場面をつないでいくと一つの絵が現れ、登場人物の想いが透けて見え出す、という構成が読み取れます。
文体解析では、一文ごとの改行と、数詞はアラビア数字で「…」の使用が特徴的。C-03が神光寺かをりさんの作品だと考えられます。

修正)しかし、C-03はどうやらADあきらさんの作品である様子。すると残るはC-01のみですが……。短篇・掌編集の「読みきり 陳腐奇譚」に眼を通すと、神光寺かをりさんは確かにこうした童話風文章を書かれるのも得意とされるようです。「…」はC-01では使用されておらず、判別には使えません。「()」も僅かですが、神光寺かをりさんの作品にあるため、文中の括弧内補足をもって否定する事もできません。よって、C-01を神光寺かをりさんの作品と考えても間違いではないでしょう。


□『聖者の行進』(麻国さん)
http://makoku.yukigesho.com/index.html


異世界FT「ボドールイの人形師」、コミカル三国志パロディ「周瑜嬢」他、短篇が幾つか。一方に美麗な情景描写あれば、他方ではユーモアも軽やかに。両極を書き分けておられるようです。短篇では「幽ろな君にさわりたい!」がお気に入り。
「ボドールイの人形師」のようにカラクリ仕掛けあり、芸術的な場面描写あり。また、強調表現はほぼ「『』」で統一(わずかに「""」あり)。麻国さんの作品はC-02ではないでしょうか。


□『Creative Infinity』(ADあきらさん)
http://members.aol.com/nshuichi/


長編SF「宇宙少女フェノ・ミナ」「銀河連邦自由警備局 ミス・クルーズ」シリーズ他、「青い花事件」に代表される短篇を幾つか。
短文を改行で重ね、人々の行動を描写する文体。また、文中で読点なしに効果音や擬音を用いたり、「…」が特徴的です。星に対する愛着といい、C-03はADあきらさんが書かれた作品であると考えるのが妥当なようです。
(すると神光寺かをりさんの作品は……何になるのでしょう?)

―Cブロック 推理結果―

推理が出揃いました。

  • C-01  魚の泳ぐ場所  =  『お姫様倶楽部Petit』(神光寺かをりさん)
  • C-02  流れ星との待ち合わせ  =  『聖者の行進』(麻国さん)
  • C-03  星になるよ  =   『Creative Infinity』(ADあきらさん)
  • C-04  星の砂漠  =  『砂水』(碓地海さん)
  • C-05  かくして塔は放棄される  =  『コチと裏庭』(小沢イネさん)
  • C-06  My Dear Starlet  =  『Fruhstuck』(佐木琴乃さん)
  • C-07  カンブリアより愛を込めて  =  『ダスヴィダーニャ』(ブシィ=ナスカさん)
  • C-08  のざらし  =  『月蟾処』(高遠一馬さん)
  • C-09  とある日、見覚えのある日常。  =  『かふぇBreaktime』(くりさぶれさん)
  • C-10  秋空の約束  =  『zetona』(叶儀シウさん)
  • C-11  Floating  =  『硝子の靴。』(りかこ☆さん)


楽なブロックなど一つもありませんね……。ここも余り自信なし。
さて、次はどんな作品が待ち受けているでしょうか。