Cブロック作品の感想・解析

少しゆっくりいこうかな。ここは、お世話になってるくりさぶれさんが参加されてるブロックなので、丁寧に読んでいきたいです。


―Cブロック―

  • C-01  魚の泳ぐ場所

感想:
いやあ、好みです。詩情たっぷりで、取り立てて飾った表現はないのですが。そのまま童話絵本になりそう。素朴な、ある魚と星の話でした。

解析:
短文〜中等度のバランス型。台詞なし。一行ごとに改行。段落は小分け。繰り返し表現を多用。難しい漢字表現はなく、意図してひらがなを心掛けている印象(迷彩の可能性も)。「()」を文中で使用し意味を補完している。

  • C-02  流れ星との待ち合わせ

感想:
流れ星を見たい女の子の……と思いきや、星空の裏舞台で働く人々の話。いろんな想いを想像すると楽しくなります。そして、じんわり心暖まるラストが巧いです。

解析:
短文〜中等度のバランス型、やや長文寄り。台詞は控えめ。段落分けは後半で増加。台詞中で「ー」を使用。文中『』あり。「……」「――」使用。「咄嗟に」「掛かり」「一ヶ月」「瞠る」「出来る」「ヴィー」「凸凹」等の表現あり。

  • C-03  星になるよ

感想:
これも一種の現代風童話ですね。ケータとクルミと先生の心のありようが伝わってきます。舞台としてリトルトーキョーを据えるなど、独特の感性がうかがえます。

解析:
短文中心。台詞は軽め。改行頻回で、段落も短め。「…」使用。数詞は半角のアラビア数字。「BGM」「こ遣い」「仕組み」「キレいな」「黙り込む」「暖かい」「指差す」等の表現あり。地の文で「」なしの台詞あり。最後に「おしまい。」と据えるなど、あえてひらがな表現を心がけている印象あり。

  • C-04  星の砂漠

感想:
星の花の滴を求め砂漠に分け入った子どもが出会った相手とは。淡白で素朴なのにどこか哲学的。まさにお話を紡ぎ出している、そんな印象を受けました。

解析:
短文〜中等度のバランス型。短文寄りの印象は、句点の多さからか。二、三文程度での改行が多い。後半は台詞が主体で引っ張る。「……」使用、「――」は稀。「還る」「更に」「頷いた」「伺えない」「色んな」「随分」「饒舌」「快復」等の表現あり。

  • C-05  かくして塔は放棄される

感想:
100年前、明治も巡りし頃。漱石や二葉亭と同時代。文語体までいかずとも古風な物言いっぽくしてるのが面白いです。新しい言葉を発明しだした書生に対して、毎度犬を思い浮かべ、バベルの塔を持ち出す先生。最後のオチがすんなり決まってますねえ。

解析:
短文中心。段落の間が広い。台詞は多め。「……」使用。文中「」あり。「""」「『』」での強調あり。「不可ないよ」「充分」「莫迦」「窺った」等の表現あるも文語体っぽさを出したものと思われる。作者さんは日本近世の文学史に興味あり(?)。

  • C-06  My Dear Starlet

感想:
Starlet、「小さな星」の意ですね。ベタベタなギャルゲー? と思うも、最初からどういうオチをつけるか興味津々でした。なるほどの都市伝説風味。本筋から逸れますが「沙耶」さんは「沙耶の唄」と……多分関係ないですね、すいません。

解析:
短文〜中等度のバランス型。一、二行ごとに改行。最後の場面転換で「◇」使用。「〜」「ー」あり。「……」「――」両方あり。「……、」あり。拗音を頻用。「ニコニコ」「クスリ」等のカタカナ表現あり。「一瞬」「一緒に」「一方」「一応」「一斉に」「一生」等の表現あり。

  • C-07  カンブリアより愛を込めて

感想:
巧緻で美しい文章を心がけておられます。進化論に興味ある理系の方? 「出来たばかりの覚束ない眼」という言葉からの推測ですが、『眼の誕生』*1を読まれた事があるのでは。いずれにせよ、冷めた眼つきも緩むような、心持の優しいお話でした。「創聖」ネタ交じりですが。二人の行く末に幸ありますように。

解析:
短文〜中等度のバランス型。短文寄り。台詞は短め。くり返し表現が散見される。改行ペースは独特で、毎行〜数行と周期的。台詞内「ー」使用。文中「」「()」使用。「……」「――」両方あり。数詞は漢数字だが、アラビア数字も交じる。難度の高い漢字多め。「遥か」「矜持」「翻って」「宛がう」「罅割れた」「揶揄」「覚束無い」「慄き」「拗ねてる」「顰めた」「俯いて」「矢張り」「為す」等。

感想:
一転して不気味な雰囲気ですね。和風怪異物。火星を詠った一節はかのノストラダムスネタ? 星が投げるのは、眩く清浄な光だけではないと。闇の妙味を感じました。

解析:
短文主体。ほぼ毎行の改行。台詞短め。場面転換:「――――――」で空行なし。文中「」強調あり。「……」使用。「填っていた」「棲処」等の表現あり。「ガタガタ」「ボコリ」「パックリ」「ヒョウ」等のカタカナ語あり。

  • C-09  とある日、見覚えのある日常。

感想:
どこにでもある風景。時も場所も違うけれど、日常の想いは変わらない。心落ち着く穏やかな春の一幕を堪能しました。淡い水彩画のような印象で、好きな文体です。

解析:
中等度の文主体。次に短文。文中「""」強調あり。台詞末尾「!」「?」多用。台詞内「……」を多用(「…………」「………………」あり)。「、……」「、(〜)」の表現あり。文章最後に文頭「――」あり。数詞は漢数字。繰り返し表現を多用。天気や風、といった背景説明からの導入。次第に色づくような描写。主要人物は二人で、全般的に会話主体。説明部は分離する傾向あり。名前のトリックあり。

  • C-10  秋空の約束

感想:
星座を投射盤で空に映し出す世界。人は、夜空を見上げて何を物思うのか。海原の絶景がまざまざと見えてきます。イメージが壮大で美しい。

解析:
短文〜長文のバランス型。短めの台詞多めで展開を引っ張る。段落の間は広い。台詞中拗音あり、「ー」あり、「!」「?」頻用。一箇所だけ「〜。」あり。「……」「――」両方あり。体言止めあり。難度の高い漢字多め。「差程」「青褪める」「窺って」「容赦無く」「殆ど」「暫し」「怪訝」「瞠目」「毅然」「咄嗟」「揶揄」「キャスケット帽」の表現あり。人物名はカタカナ。

  • C-11  Floating

感想:
宇宙の闇を見通すヴィジョンが、深く静かに心に落ちていきます。「星の瞬きにも満たない長さ」の人生ならば、せめて笑顔で。明日への背中を支えてくれるお話でした。

解析:
短文〜長文のバランス型。台詞控えめ。最後の場面転換:「・」三行。文中「……」が主。文頭「――」表現あり。「()」での長めの捕捉あり、「(〜)、」の表現あり。文中「」強調あり。文中「!」「?」「?!」あり。カタカナ語多め。「繋がらない」「挫かれる」「廻り」「十分」「還る」等の表現あり。英文訳として「""」あり。最後に「Fin」表記あり。


さて、これぐらいにしましょうか。